BIG ISSUE KOREA コラム和訳集 RM編

BTS RMはスーパーカーじゃなくて タルンイ(チャリンコ)に乗る
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https://content.v.daum.net/v/kxZzKETfIz
僕の夢はラップスターになること
BTSのリーダーRMは運転免許証を持っていない。
お前の夢は何?俺はラップスターになることだ
-Born Singer(2013)-
と世俗的成功を願っていた少年は、全地球的音楽のアイコンに成長した今、成功したラッパーの象徴である「スーパーカー」ではなく「タルンイ(チャリンコ)」に乗る。 この世の全てをブラックカードで一括決済できると信じるスーパーカーの世界を拒否するかのように。
ラップスターRMは、ダイヤモンド、シャンパン、プールサイドパーティー、ファーコートではなく、美術館に通い、植物を手入れし、運動する様子をSNSに掲載する。 RMは真の*フレックスは所有ではなく、レベルの高い趣向から生まれるということを知っている。
*フレックス/플렉스 見せびらかす、お金を使ったりして自慢する。米国のヒップホップのスラング「Flex(見せびらかす)」を語源にした言葉で、「格好よく見せるためにアピールする」「お金を使ったりして自慢する」「ブランドや高級品などお金を見せびらかす」の意味で使われる新語

RMはラップモンスターだった。 2017年11月、「開かれた心と観点で音楽を制作したいという思い」を込めて自ら活動名を変えた。ラップモンスター時代の彼は『お前がA$AP、Kanyeよりヒップホップなのか?』 -Do You(2015)という歌詞を書いた。ラップモンスターの音楽は、自分を認めてくれる誰かと、自分が勝たなければいけない誰かに対する切ない告白のように感じられる時があった。 その時代を経てRMになった今は 「午後のおやつのように、この小さな瞬間の為に生きてきたと思う」-Bicycle(2021)という歌詞を書いている。最近の彼は、自分だけのリズムとテンポを見つけたかのように自然で自由に見える。ひたすらラップで世界を打ちのめすと言っていた少年は、Billboard シングルチャート1位を記録した最新曲「Permission to Dance」(2021)で、曲の特性とバランスを考慮し、ラップパートを外してパフォーマーとして楽しく身を任せられる歌を完成させることを優先した。今、RMの音楽は、どの芸術家もそうであるように「自分は誰なのか」に対する誠実な探究の過程が込められている。
ある人は問う。「RMはアーティストなのか?」 「アイドルがアーティストになれるのか?」 さらには彼の趣味にも水準を論じようとする。 しかしRMは何も証明しなくても良い。 「RMはアーティストなのか? 」という質問は、 「RMが何故アーティストではないのか?」に置き換えなければならない。それを証明するのは「ある人」の仕事だ。なぜなら、今は2021年だから。

RMの熱い魅力
RMは可愛い。彼を世界的なスーパースターBTSのリーダー、またはUN総会の演説者として先に知った大衆は、この事実をよく知らないかも知れないが…。
YouTubeで「RMの面白い映像」などを探せば分かる。 大きな体格で本人は意図しない体を張ったギャグをしたり、おかしな言葉遊びに心酔する彼の姿からは色とりどりのボールを一生懸命転がすコアラのような可愛らしさがある。 健全で正直なメンバー間の絆の中で身についたRMの無害で愛らしい態度は、人を心から笑わせる力がある。 「ARMYレンズ」を外してみても客観的に面白い。
RMだけでなくBTSのメンバー達はみんな面白い。 私を含めて多くの人がBTSのバラエティ番組「走れバンタン」を*無限挑戦の再放送を見るように渇望して見ている理由だ。
*無限挑戦(무한도전)は韓国MBCの人気バラエティ番組。ムド(무도、無挑の韓国語発音)と略称されている。wikiより

RMの魅力を語るには容姿も外せない。 RMはかっこいい。 行動や考えも素晴らしいが、容貌が特にすばらしい。 彼は私の知る人の中で、ダニエル·ヘニー(俳優)の次に素敵に笑う人だ。どんなスーツもオーダーメイドスーツを着たように、すらりとした背丈と男らしい体格も持っている。彼がSNSに掲載する美術館に行き、自転車に乗る日常を撮った写真は、韓国語を「アンニョンハセヨ」と「ビビゴ(食品メーカー)」しか知らない外国人も*남친짤(ナムチンチャル)の意味を理解できるようにした。
*남친짤(ナムチンチャル)・・・彼氏風の写真のこと

RMの魅力は当然舞台の上で最も強烈に発散される。 RMのラップは力強い。多少土俗的な表現ではあるが、チムジルバン(蒸サウナ)の岩盤石のように、一緒にいる場所の最後列まで熱を伝える。 その力でRMは勢いを作る。 ステージ上の彼の爆発的な存在感は、公演の起承転結を形成する主要なストーリーの一つだ。 巨大なセットとドラマチックな舞台効果はRMの脇役に過ぎない。
感動はここで終わらない。 RMの言葉は手紙の文章のようだ。すべての文章には誰かに対する恋しさと安否を問う優しい気持ちが込められている。手書きで書く人だけが持つ情緒だ。 歌手として、一人の人間として、持っている全てを燃やし尽くさなければならないコンサートで、彼は世の中で最も熱い気持ちを込めた手紙を読み上げる。その瞬間観客は、BTSに向けた自分のファン(オタク)活動がいかに本気なのかを改めて悟ることが出来る。これがBillboardシングルチャート10週連続1位(2021年8月3日基準)を記録しているBTSリーダーの真の底力だ。

俺の夢は、俺になることだ
もしRMにインタビューできるなら、すべての順序の最後にこの質問をしたい。 2017年12月に行われた<The Wings Tour: The Final>で『Born Singer』を歌った時、「俺はラップスターになる」という歌詞を「俺の夢は本当の俺になる」と変えて歌ったが、今その夢を叶えたと思うかと?
まあ、どちらでもいい。RMはARMYにとって、リーダーであり、ラップスターであり、作家だが、この中に該当しなくても大丈夫だ。運転免許証がなく、コアラのように可愛くて、手書きの手紙のように語るあなたは、いつまでもファンの*愛(사랑/サラン)であり、誇り(자랑/チャラン)だから。
*Trivia 承 : Love の歌詞からの引用

文.최이삭(チェ・イサク)
K-pop コラムニスト。人生をアイドルから学んだ人。
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